「機能不全家族」第1巻ネタバレありの感想文

漫画「機能不全家族」は、毒親家庭に生まれた主人公夏目ユキの体験談を元に描かれる現在連載中のエッセイ漫画です。

この本を読んだ私が、ネタバレ有りで感想を書いていきます。

ここから先は詳細なネタバレを含みます。

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「機能不全家族」ネタバレ第１巻

「機能不全家族」ネタバレ第１巻　あらすじ解説と感想

医者の父と専業主婦の母を持つ主人公夏目ユキは、下に妹と弟がいる3兄弟の長女。

一見するとどこにでもある5人家族と思いきや、母親はちょっと変わった思考の持ち主だったのです。

将来役に立つからと幼児教育と称して射撃訓練をさせたり、バランスボードやスピリチュアルなCDを聴かされたりしていました。

また母親はマルチ商法にはまっており、家に人を呼んでは補正下着や日用品のセールスをしていて、ユキはそれがあたりまえの日常と思いながら幼少期を過ごす毎日。

食育に関しても極端で、着色料や炭酸飲料、カップ麺を悪とし、替わりにマルチで購入したビタミンのサプリを飲まされていました。

それゆえ友達の家で食べるカップラーメンの味に感動することもしばしば。

そんな食育にこだわる面とは裏腹に、朝食を作ってあげない母親。

菓子パンも禁止されていたため、生の食パンをそのままかじって登園する毎日だったのです。

お弁当の中身が白飯にレトルトカレーだったこともあるなど、全体的に母親の食事にいい思い出がないユキは、おふくろの味さえも知らぬまま成長していくのでした。

おまけに気性も激しく、ユキのバレエの発表会というおめでたい場だというのに、些細なことで父を罵り、人目もはばからず喚き散らす母。

そんな世間から浮いた母親の機嫌を伺いながら生活する毎日でした。

一方、父親は真面目に働くお医者さん。

休日になれば毎回子供たちを遊びに連れ出してくれる、温厚な人柄です。

ですが休日のお出かけには必ず母親抜きで出かけていたのを、ユキは子供ながらに疑問に感じていました。

家族全員で旅行したこともあったのですが、結局母親の機嫌を損ねてしまい、父と母で別行動することに。

妹と弟が父親に付いていく中で、ユキは一人ぼっちになる母を見捨てることが出来ず、自分が我慢することで母親の気分が鎮まればと己を犠牲にするのでした。

他にも一人で沖縄に旅行中の父親に逆切れしてとんぼ返りさせるなど、母親の機嫌は予想がつきません。

コロコロ機嫌が変わる母親と事なかれ主義の父親で保っていた絶妙なバランスが、とある出来事がきっかけで大きく変わっていくのです。

それはインターネットが普及し始めたころの話。

母親はチャットにハマっていました。

毎日毎日ずっとチャットに明け暮れる日々でしたが、チャットをし始めた母親は機嫌が良かったので、ユキの心は平穏でした。

ですが、事件は起こります。

チャットで使用したネットの通信代で高額請求されてしまったのです。

事なかれ主義で、母親の理不尽な態度も流してきた父親が初めて声を荒げるような剣幕で母親を責め立てます。

この件を発端に、母親の浪費のことで言い争いが絶えなくなりました。

ユキはそんな様子を布団の中で耐えながら、こんな夫婦の間に生まれた自分の存在意義は何なのだろうと小学4年生ながらに考えるのでした。

そんな夫婦関係がこじれる中で、マイホームが完成します。

その頃には家族全員が母親に冷めており、まるで腫れ物を扱うかのごとく接していました。

母親に陰りが帯びてきたのはこの頃。

変わった人からどんどん精神を病んだようになっていくのです。

厚化粧をした顔で、ユキに「お母さんは綺麗です」という言葉を強制したり、お腹が空いたと駆け寄る弟にビデオテープを投げつけたり、明らかな虐待を始めるようになってしまったのです。

弟が可哀相とか助けなきゃという思いよりも、次は自分がやられるのでは、という恐怖がユキを支配していました。

殴られたあとは決まって、「叩いてごめんね」と子供たちを抱きしめる母親。

その繰り返しにだんだんと感覚が麻痺していくユキ。

今なら当たり前に警察や児童相談所など頼る場所が出てくるのに、その時は母親のもとから離れようという気も起きなくなっていたのです。

「わたし達子供には、親しかいない」

そんな気持ちにユキは支配され、母親を嫌いになることができませんでした。

それからユキの家族は崩壊を辿ることになっていってしまうのです。

「機能不全家族」第2巻の予告

次の第2巻では、更に激しさを増した母親の暴走が描かれます。

母親の暴力はユキ達家族全員にどう影響していくのか、ユキを含めた子供たちの心にどう写るのかが見どころです。

次巻も目が離せません！